一人勝ちする欧州株 これほど強気な4つの理由

欧州株の勢いが止まりません。
米国株が弱気相場から抜け出すのに四苦八苦しているのに対し、欧州株は昨年後半から非常に力強い動きを見せています。
英国のFTSE100はすでに昨年高値を更新、他の主要欧州株価指数も2022年の下落の8割近くを戻すなど、指数によっては最高値試しの動きが射程圏内に入ってきています。

この投稿ではなぜ欧州株はそこまで強気なのか、主要欧州株価指数のチャートとともに4つの理由を解説していきたいと思います。


主要欧州株価指数(全て週足)
まずは主要指数のチャートです。


ユーロストックス50(欧州)
ユーロストックス50はユーロ圏先進11カ国の上位銘柄で構成される株価指数です。
米国株同様に2022年年初から下落を始め弱気相場となっていましたが、すでに2022年年初からの下落の80%を戻しており、2022年10月からの上昇率は28%に昇ります。
アメリカのライバルとも言える同期間のS&P500の上昇率が18%前後であることと比較するとその差は歴然です。

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DAX(ドイツ)
ドイツの株価指数DAXのチャートはユーロストックス50とほぼ同じです。BMW、SAP、シーメンスといった有名ドイツ企業はEU50にも採用されていますし(2022年末時点データ)、ドイツが欧州経済に及ぼす影響力が大きいことからも納得でしょう。

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FTSE100(英国)
イギリスの株価指数であるFTSE100は、すでに昨年2022年の高値を更新。2018年以来の高値7800に到達し、史上最高値更新まであと数十ポイントと、欧州株価の中で抜きん出たパフォーマンスを見せています。

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CAC40(フランス)
フランスの株価指数CAC40もEU50,DAXと似た形状をしていますが、最高値までの距離は3指数の中で最も短く、今年前半中にも史上最高値を試す動きが出そうな気配です。

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欧州株上昇の理由
自分自身もなぜここまで欧州株が強いのか疑問に思ったので、海外のメディアを中心に調べてみました。
報道されている内容は概ね以下にまとめることができます。

1.底堅い欧州経済
年初に発表されたドイツの2022年通期GDP速報値は1.9%増。第4四半期は横ばいとなり、22年第3四半期もプラス成長だったことから、リセッション回避の期待が高まっています。
イギリスでも22年10月と11月のGDPがプラス成長と、依然10%を超える高いインフレ率の中ですでにリセッション入りしているとの見方とは反対の明るい兆しが見えたことが材料視されているようです。


2.欧州全域での歴史的な暖冬
ドイツでは1881年以来初めて年末年始の最高気温が20度を超え、フランスでも昨年12月30-31日の気温が統計開始以来の最高となるなど欧州全域で暖冬が続いています。
この気温上昇で暖房用ガスの需要が減少したため、天然ガス価格の下落(以下3)につながり、ロシアが欧州へのエネルギー供給を減少させて以降ガス価格の高騰に苦しんできた欧州各国にとって渡りに舟となっています。


3.ガス価格下落
以下のチャートは欧州における天然ガス取引指標のオランダTTFの先物チャート(週足)ですが、価格はロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月水準を割り込むまで下落しています。

オレンジのライン:ユーロストックス50
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ガス価格下落の背景には上記の温暖な気候の他に、欧州が世界各国からLNGを輸入したことでガス貯蔵率が大幅に改善したことによる供給懸念の後退もあると言われています。最近ではEUが天然ガス料金に上限を設けることで合意したということもあり、ガス価格高騰への懸念は和らぎそうです。

いずれにしても欧州株の上昇が始まった昨年10月(赤の縦線)からの動きを見ると、ガス価格と欧州株価が逆相関を見せていることもわかります。
ガス価格の下落により欧州のインフレ率が落ち着いてくるという期待も、株価にとってはプラスに働く面があるでしょう。


4.中国のコロナ規制解除
上記の要因に加え、欧州圏の主要貿易国の一つでもある中国がゼロコロナ政策から舵を切ったことも経済を後押しする材料として見られています。


と、ここまで見てくると年明けを飾るのに相応しい明るいニュース盛りだくさんですが、依然高いインフレ率の中でこのままプラス成長が維持できるのかどうかを疑問視する見方も存在しますし、欧州圏のリセッションは時期が遅れるだけで到来は免れないという見方もあります。
ちなみに金融業界の恐竜ゴールドマン・サックスは欧州圏のリセッションはもはや想定していないと、強気なスタンスにシフトしたそうです。


何れにしてもチャートは各資産クラスの中で最もエキサイティングと言っても良い動きを見せています。
米国株に先駆けて史上最高値を攻めるような展開になるかどうか、今年は欧州株からも目が離せない年になるでしょう。

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